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2006.10.16

「サムサッカー/Thumbsucker」ティルダ・スウィントン/キアヌ・リーヴス/ルー・プッチ/監督:マイク・ミルズ

なんとなく気になって突然観に行くことに決めた「Thumbsucker」。冒頭に表示されるキャスト名にティルダ・スウィントン、キアヌ・リーヴスを見つけてびっくり!そんな大御所が出演していたなんてびっくり!

そして、勘は外れることなくかなり心に残る作品でした。 「恋愛適齢期」でもおいしかったキアヌが、ここでもポイントとなる台詞をびしっと決めてます。

「大切なのは、正解のない人生を生きる力だ」

以下、ネタばれ大ありの感想!

***ネタばれあり***

主人公ジャスティンは、17歳になっても親指しゃぶりがやめられない少年。父親はかつて名フットボール選手として名を成したものの、膝の怪我によりプロの道に進めなかった、“いつまでも若くいたい”人物。子供に自分のことをファーストネームのマイクで呼ばせる。

母親はお気に入りのTV俳優に熱を上げて、1日デートできる懸賞に応募するためドレスを買いにいく看護士。彼女もまた、“いつまでも若くいたいから”、ママではなくオードリーとファーストネームを子供に呼ばせている。

ADHD(注意欠陥/多動性障害)と診断されたジャスティンは、精神安定剤の服用によって驚くほど頭脳明晰になり、それまで反論など一切出来なかったディベートでその力を発揮するようになる。

自分の意見を述べることよりは、相手を言い負かして自分を認めさせる方向に進みがちになってしまうジャスティン。言葉だけで言い負かすことを常に念頭に置いたその言動は、以前と比べれば信じられないほどの鋭さだけれども、言い負かすことだけに長けていて、「学んで」はいないようにも思える。

大勢の聴衆の前で堂々とディベートを行う息子の姿に、「大人になった」と喜んだ母親も、行き過ぎるジャスティンの言動に次第に「もう手に負えない」と夫に漏らすように。

数々のトロフィーを喜ぶ父親も、実際にディベート会場で息子の勇姿を見ようとはしない。

初めて父親がディベート大会に足を運んだ時、ディベート仲間に「精神安定剤はスピード(ドラッグ)と分子構造が3つしか違わない」と言われ、動揺したジャスティンはまともなディベーティングが出来なかった。

ショックから薬の服用を止めたジャスティンは、マリワナに精神の安定を求め、そこでも彼女だと思っていたレベッカに「これは10代の実験」と言われて落ち込む。

前に願書を出していたN.Y.大学からの合格通知が来た時、「親指が苦くなる」という自己暗示をかけられて以来疎遠になっていた(願書を出す時に一度だけ再会しているが)歯科医、ペリーの元を訪れる。

心理学や精神世界などを渡り歩き、少し印象の変わったペリーがジャスティンにかけた言葉。

「人生に正解なんてない。それさえあればすべてがうまくいく魔法もない。大切なのは、正解のない人生を生きる力だ」

そしてN.Y.への旅立ち。機内で、ニュースキャスターになって活躍している夢を見たジャスティン。ふと覚醒した時、彼の口元には親指が・・・・。

この作品が出しているメッセージは、
他人と違ってもいい。大切なのは、答えのない人生を生きる力なんだ。
というもの。(公式ブログ、パンフレットより)

「他人と違っていてもいい」とか「人生には正解なんてない」という台詞は結構陳腐だと思いますが、それに続く「答えのない人生を生きることが大切」は、なんとなく新しい感じを受けました。

「ありのままでいい」とか「そのままでいい」とかじゃないこの言葉。

alexの心にストンと落ちたのは、もしかしたらalex自身も「これでいいのか?」を自問し続けているからなのかもしれません(^_^;

人生に満足なんてないんでしょうけれど、ね。

キアヌが演じる歯科医ペリーの上記の台詞も大きいですが、途中まで存在感のなかった弟の台詞もこれまたgood。

「自分だけが苦しんでると思ってる。両親がお兄ちゃんのことでいっぱいだから、僕は落ち着いてなきゃいけないんじゃないか」

まさに冷静な一言。でも、落ち着きのない兄に両親の注意が大きく払われる状況に、彼が寂しさを感じていなかったはずはないんですよね。薬を服用するまでは、何かと手をかけてやらないといけない存在だった兄。薬を服用しだしてからは、人が変わったように頭脳明晰になり、またもや周りの注目を集めるようになった兄。

至らない兄の世話に両親が注力できるように、弟はきっと「1人でなんでもできる。自分のことは自分でまかなえる」、とてもしっかりした子供だった、もしくはそんな子供にならざるを得なかったんだろうな~と思います。

そして、弟のそんな気持ちを組んでやる人もいなかったのかも。

この作品に押し付けがましさとか説教くささをalexが感じないのは、ものすごくリアリティに溢れているからかもしれないです。作り上げられた家族設定じゃなくて、よくある(であろう)家族、家庭、登場人物。(ADHDと診断される部分は全ての人に当てはまるわけじゃないでしょうけれど、落ち着きのない人は決して珍しいものではないので、まぁOKかと)

怪我による夢の断念を未だに克服し切れていない父親。妻がお気に入りのTV俳優から「my Angel」と書かれたサイン入り写真をもらって、それを大切にしていることを知りつつも、プロフットボーラーになれなかったことを引きずって妻に文句を言えない。

「フットボールを止めた直後の壁をどうやって乗り越えたか?」とディベートをやめた直後の息子に助けを求められても、ただ「我慢した!」としか言えない。

今でも現役、スポーツ万能の若いパパでいたくでも、マラソンでは若い歯科医にラストスパートで負ける・・・・

子供に見せてやりたい大きな背中を持てず、17歳の息子をどう扱ってよいかわからず、「完璧な親」になれない父親。 

唯一息子に示せる愛情表現は、きっとあの、髪をくしゃくしゃにしながら頭を撫でる仕草だけなのか。N.Y大学に受かったと息子から聞かされ、破願しておめでとうと言う事も出来ず、「やっとお前の扱いに慣れてきたところだったのに」と搾り出すことしか出来なかった彼。

けれど、世の父親の大半はそんなもんじゃないかと、どこかで妙に納得。「尊敬する人は父です!」なんて、17歳では実感がわかない言葉じゃないかと思うから。自分が親になった時にそう思うことはありうるけれど・・・・。もしくは、何かこう・・・愛されていたことを実感できた時を迎えたら、かな~。

TV俳優に現を抜かし、彼の看護をしたいがために有名人が多く入る病院へ転職したと思われる母親。けれど、別に彼女はミーハーなことばかりしているわけではなく、お気に入り俳優をプロとして看護してもいた。

そして、「17歳の息子の親になることは難しい」「結婚すれば孤独ではなくなるわけではない」とも語っていた。

つまり、母親だって「完璧な親」じゃない。

子供は多分、親を「完璧な存在」としてみてしまう傾向があるのではないかと思う。けれど、親だって所詮人間に過ぎなくて、100%の庇護が必要な幼少時を過ぎると、親への理想と実際の親のギャップに戸惑うようになるのかもしれない。

物語の設定では、両親はまだ40手前の年のはずなので、そりゃ両親だってまだまだ発展途上、人生を悟った大先輩でも、何事にも動じない親でもないはず。子供との対話を手探りで進め、壁にぶち当たっては自分自身と向き合うのは日常茶飯事かも。そうやって親も成長していくのでしょうか。

親の期待に応えたいと思うのは子供としては当然かもしれない。そしてそれに応えられない自分をもてあます。期待にうまく応えられないけれども、自分を丸ごと受け入れてほしくて親とぶつかり、周囲とぶつかる。

「周りと比べず、ありのままでいい」とよく言うけれど、言うは易し行なうは難し。

ただ、結局周りがどれだけ受け入れてくれたって、自分が自分自身を受け入れられなければ意味がないのかもしれない。

なんか気がつけばえらい語っていますな(^^; たまたま「16ブロック」が行きつけのシネコンでやってなかったので千葉まで足を伸ばした副産物の鑑賞でしたが、「これはなんかあるぞ」という自分の勘が廃れていなかったことにちょっと感動(笑)

USとの会議会議・メールメールなこの2ヶ月。経験の少なさを自覚してはいても、思うように意思の疎通が図れなかったり、英語での電話会議で詰まってしまったりするのがとても悔しく、なんとか一足飛びにスキルアップできんものかと実はもがき続けてました。

やりたいことは数々あれど、まともな睡眠すら許してくれなかった作業内容と環境。肩にのしかかった重圧にメゲそうになったこともあったので、心休まる作品を無意識に探していたのかもしれません(苦笑)

ティルダ・スウィントンは、悩める母親をこれまた見事に演じていました。大作にこだわらず、小予算なインディーズ系(?)にも出演している彼女。彼女自身、母親でもあることがオードリーを演じる上で助けになったそうです。

オタクっぽい長髪だったり妙にさっぱりしたりしていたキアヌ。診察が終わったとは言え、手袋はめたままタバコくわえるのってありっすか? この方、「コンスタンティン」のようにタイトルロールをばばんと演じてるのも好きですが、脚本が気に入った!とか、出たかった!という理由で小さな作品にもポロポロと出てくれるのが好きです。しかも、そーいう作品でかなりおいしい場所にいるからもう最高。

キアヌ自身が常に何かを探している人、というイメージがあって出演を依頼したそうで。ぴったりですな。監督、すごいぞ。

そして驚かされたのは主人公ジャスティンを演じるルー・プッチ。映画は初の新人だそうですが、実力派揃い踏みの中でまったく浮いてませんでした。対等に、もしくは共演者をところどころで食ってたような気もします。

監督は結構有名人らしいのですが、alexにはまったくピンとこなかったので、触れません(^_^; ミュージック・ビデオだとかデザインだとかって知らないんですよぉぉぉ。

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公式サイト:サム・サッカー(日本語)

USとUKではDVD発売済。よくよく見たらこれ、2004年作品ぢゃないですか(汗)
さらにUK版は特典が結構ついてます。英語字幕あり、コメンタリーあり、ビハインドA)・シーンあり。日本版を待ちたいけど、出なかったら買おうかな~。


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サムサッカー@映画生活

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コメント

alexさん、TBとコメントありがとうございました。
熱く、読みごたえのあるレビューで楽しく最後まで読ませていただきました。
クリスチャン・ベールのファンでいらっしゃいますね。
私も、キアヌの次に彼が好きです。
特にリベリオンは最高!
また時々お邪魔しますね。

今、はっと思い出して検索して思い当たりました。
リベリオン同盟のalexさんですね!
前々からクリスチャンベール関係で存じ上げておりました。(ロムだけの隠れファンでしたので。)
何だかTBを頂いて感激です。
ニューワールドの彼にもうっとりでした。

>hyoutan2005さん
こんにちは!TB&コメントありがとうございますm(__)m
はい、リベリオン同盟のalexです。知っていただけていたなんて私も感激しています!
私もまた遊びに行かせていただきますね。

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