« 「Shattered」US版DVD12/24発売! ジェラルド・バトラー/ピアース・ブロスナン | トップページ | alexの体内・脳内メーカー »

2007.10.09

海外ドラマ制作の裏側を見る「The TV Set」 デヴィッド・ドゥカブニー/シガニー・ウィーヴァー/ヨアン・グリフィズ

アメリカのTVドラマ作製の裏側をたっぷり描いた、デヴィッド・ドゥカブニー主演、シガニー・ウィーヴァー、ヨアン・グリフィズ出演の「The TV Set」。DVDにてようやく鑑賞。

alexが最近「Bones」や「House」などCSで放映している海外TVドラマにはまっていることもあって、その舞台裏を取り上げたこの作品はとても興味深く、面白いものでした。

実体験に基づいた、真面目な路線のドラマを作ろうとしている実力ある脚本家。視聴率と他局に負けないことと自分の気に入ったドラマを作ることだけを考えている、やり手の管理職。英国BBCでドラマ作製をしていて、「気品を添える」為にアメリカにお呼びがかかり、脚本家の味方につこうとするも自分を引き抜いてくれた上司への恩もあってどっちつかずになるサブ管理職。

現在のアメリカのTVドラマ業界を風刺した部分が多分にあるであろう作品です。

脚本の質は高いのに、俳優のオーディションで意に沿わぬ軽めの俳優(管理職が気に入った)を使うことが決定し、脚本はドンドン勝手に書き換えられ、身体を壊し、最終的に新クールで自分の作品が放映されることに決まるも、それは意図したものとは180度違うものに作り上げられていた・・・。

そんな主人公をドゥカブニーがいつものもごもごしゃべりで演じ、管理職シガニー・ウィーヴァーが周囲を圧倒し、サブのヨアンが・・・今ひとつ締まらず、けれど、とんでもないオチまで、見事な作品となっています。

以下、ネタバレ大有りの感想です。

**ネタバレ大有り(US版英字幕鑑賞の為、一部解釈ミスがあるかもしれません)**



<粗筋>
脚本家Mike(デヴィッド・ドゥカヴニー)は、つい最近「パンダTV局」に“The Wexler Chronicles”という、兄を自殺で亡くしたMikeの葛藤に発想を得た、性格劇ドラマの脚本を買い取られた。
家族は妊娠6ヶ月の妻と1歳前後の子供あり。妻はMikeの脚本にとても理解を示している。

気が強く、自分勝手で頑固なLenny(シガニー・ウィーヴァー)はpresident of PDN(←公共放送の略語かと思ったのですが、ちょっとよく分からず)。彼女の最大のアドバイザーは14歳の娘で、パイロットビデオを彼女に見せてGoサインを出すかどうかを決めている。 Mikeのパイロット作品が採用されるかどうかは、彼女次第。

「品格を添える為(touch of class)」に英国BBCから引き抜かれてきたRichard(ヨアン・グリフィズ)は、直感的にMikeの作品のよさを見抜くも、Lennyの顔も立てねばならない。 息子のサッカー試合を観に行けば、コネが欲しいママにしつこく声をかけられ、英国から一緒にやってきた妻と息子は現地の生活に馴染めないでいる。

秋の番組再編成を控え、新ドラマのパイロット版作製がスタートした夏。新ドラマ候補の作品は「Pilot」のGoサインをもらうところから始まる。まずは出演者のオーディション。

このオーディションには、レニーとリチャードをトップとする局の製作陣も参加し、主演俳優を決めていく。MikeはT.Jという俳優がイチオシだったが、レニーの目に留まったのは“sweet”なザックだった。無名だったザックは、そのオーバーなコメディ系演技と悪くないルックスで、レニーやマイクのマネージャーアリスに気に入られる。

オーディションを終えてレニーが注文をつけたのは2点。主演はザックがいいこと。そして「兄の自殺シーンは不要ではないか」ということ。

「この作品は、僕の兄が自殺した、僕の経験に基づいている。兄の自殺は外せない」と抵抗するマイク。レニーはその場は一旦引き下がるが、この脚本変更を決して諦めてはいなかった。

オーディションの3週間後、ザックを起用することを条件として、マイク脚本の「The Wexler Chronicles」パイロット版OKとなり撮影が始まったマイク。持病の背中の痛みを堪えながら現場に出るが、撮影監督はマイクの意図を無視し、現場スタッフとのコミュニケーションもろくにとらないまま勝手に撮影を進める。

兄の葬儀シーンの撮影日、ザックはリハーサルではとてもいい演技をする。本番撮影まで20分待ちが入り、主演女優のローレルの軟派に半分成功したザックは、本番では調子に乗ったおちゃらけ路線の演技を披露。マイクは眉を顰める。

運悪く、この日は、レニーとリチャードが山場とも言えるこの葬儀シーンを見学することとなっていた。

撮影見学に来る前、放映中のとあるドラマが視聴率19%を記録したことで、レニーは局で
関係者と祝杯を挙げていた。次のシーズンも、高視聴率作品を出してやると鼻息の荒いレニーは、ザックのおちゃらけ演技を見た後、「兄の自殺はやめて母の病死に脚本を変更しろ」と言い出した。

それでは話が全く変わると抵抗するマイクに、「だったら二通り作ればいいのよ。テスト上映で両方を流して、どちらの反応がいいか確認しましょ」と強引に自分の意見を通すレニー。

唯一マイクに理解を示していたリチャードは、マイクとレニーの板ばさみになった上、義父の誕生日食事会の予定が入っていた為、うやむやのまま逃げ出してしまう。

かくして、兄の自殺という実体験を基にしたシリアスなドラマは、母が病死する路線へ少しずつ傾いていく。

2週間後、2種類のパイロット版が出来上がっる。母親の病死バージョンを妻と背中の主治医、マネージャのアリスと共に見るマイク。「とんでもない駄作だ」と口をそろえる妻と主治医。いい作品だと言うアリス。その時、マイクの背中に激痛が走り、彼は昏倒、緊急入院・手術となってしまった。

病床のマイクを置き去りにしたまま、一般人を対象とした覆面試写会が行われる。その結果、とても高い好感度を得たのは、なんとレニーが推した「母親病死バージョン」だった。消沈するマイク。

そして秋の番組再編成、タイムテーブル決定日。春~秋に放映されていたドラマがどれも好調だったことから、レニーはマイクの「The Wexler Chronicles」を放映しないことにした。

リチャードは「とてもよい作品なのに」と抵抗を見せるが、「時間の枠がないのよ」とあっさり切られ、引き下がるしかない。ちょうどその時、月9の枠にライバル局がセクシー番組を持ってくるという速報がもたらされる。

パンダTVでは月9には同じくセクシー路線の番組を放映していて、次も同じものでいく予定だった。しかし「セクシー番組vsセクシー番組は過激化するだけで勝算が薄い」とリチャードに説得され、局のトップも同意した為、その枠に「The Wexler Chronicles」が放映されることとなる。

ただし、「The Wexler Chronicles」の月9放映にはこれまた2つの条件があった。

1.タイトルを「Call me Crazy」に変えること
2.母親病死バージョンで行くこと

実はレニーは「The Wexler Chronicles」というタイトルが気に入らなかった。「いい脚本と、サイアクなタイトル」と言っていた彼女は、密かに街頭アンケートを行わせ、「Call me Crazy」というタイトルを勝手に決めてしまったのだ。

自宅のベッドで療養中のマイクは、マネージャのアリスからこの2つの変更を呑むことが、「The Wexler Chronicles」を今クールの連続ドラマとして放映する条件だと電話で伝えられる。

当初作りたかった作品とは全く違う、「大衆がいい反応を示すもの」とレニーが主張するカラーの作品に作り変えられたことに落胆しつつ、まだ幼い子供を抱く臨月間近の妻を見たマイクは、「いい番組は偶然出来上がるものだ。僕はそれでいけるよ」と気持ちを切り替えて了承する。

そして、編成変更・新番組お披露目のパーティの日。

終了するドラマにはお疲れ様とねぎらいを、これから始まる作品は出演者紹介と予告編披露を。TV関係者を集めて大々的に行われたパーティには背中を治療中のマイクも、松葉杖をついて出席。

いよいよ、「Call me Crazy」とタイトルが変更された「The Wexler Chronicles」の予告編が上映される。

兄から母へと完全に変更された葬儀シーン。
獄中の兄は自殺せず、そのまま生き続けている。

「兄弟の絆は永遠だ」
と、ザック演じる主人公と兄がガラス越しに拳をつき合わせ、兄弟は静かに頷く。
そして兄は主人公に背を向け、、、、、その背中に大きなおならの音が被せられる。

大爆笑するパーティ出席者。

そこで上映されていたのは、実の兄を自殺で亡くし、それと葛藤したマイクの経験を元としたドラマではなく、ただのお笑い作品だった。

背中の手術などでほとんど編集などに参加できなかったマイクは、この変更を知らず、この展開にただただ呆然と言葉をなくす。

「やったじゃないか!ヒット確実だな!」

とハイタッチを求めてくるTV局の人間に、力なく手を出すマイク。

沸き立つ人々とスクリーンを見ながら、胸に去来する苦い思いをただただ力なく噛み締めるマイクだった。
<粗筋ここまで>


監督&プロデューサーのJake Kasdanは、米TVドラマ「Freaks and Geeks」(邦題:フリークス学園)のいくつかのエピソードなどで監督を務めたことがあるようです。

経験者は語る、の業界事情なのでしょうか(^^;

eiga.comのコラム「打ち切りの危機に瀕する面白ドラマ(小西未来のFROM HOLLYWOOD CAFE)でも触れられているように、アメリカのTVドラマ市場は激戦区のようです。

確かに人気があり視聴率も高いドラマが多いですし、最近海外TVドラマを観られるようになったalexが、即いくつかの作品を必ず観るようになったように、とてもクオリティが高いものも多いと思います。

その中で新作を出そうと思うとどうなるか。この映画はフィクションだと思いますが、業界の人間が書いているだけに、誇張はあれどこれに近いものがあってもおかしくないな、と思いました。

劇中でレニーがリチャードに現在放映されている有名な作品をいくつか引き合いに出します。

「CSI:New York」「OC」「The Sopranos」。これらに対抗できるような、これらのようなドラマが欲しいのよ!というのがレニーの要望です。

レニーを演じたシガニー・ウィーヴァー。この手の役柄が似合いすぎてます(苦笑) キャストを見た瞬間、どうなるかなんとなく予想がついたくらいです(それでいいのか?)

パンダTVなので、視聴率19%お祝いパーティの席で、彼女は左肩にパンダのぬいぐるみを乗せているのですが、それが恐ろしく不似合いで(^_^;;; 今にもずり落ちていきそうなパンダになぜか視線が集中してしまいました。

人の言葉を聞かない、自分の要望はそのパワーを使ってどんなことでも通してみせる、一種パワハラの見本みたいな人です。もちろん、それが視聴率19%という快挙に繋がっているのでしょうけれど。

レニーはマイクに、「最低でも14%は取れないと・・・どうなるか分かってるわね」といった脅しも忘れません。

レニーの言う「視聴者が求めるもの」は、例えば自殺に対して何%の人がネガティブなイメージを抱くなど、マーケティングででた数字をしっかりと出してきます。だからマイクやリチャードはなかなか強く反論できないのかもしれません。

また、主演女優のオーディションで言うのが「彼女(1人目の候補者)の胸は作り物(fake)だったわ」。視聴者はリアルでないものを感じ取ってしまうからNG、のようなこと言ってました。胸が作り物かどうか、一目で分かるんですね(^_^; さすが。

「上品さを添える為」にBBCから引っ張ってこられたリチャードですが、大西洋の向こうの下品さに添えられるものは何もなかったようで。

妻と息子に去られ、残ったのは破綻した家族生活。それすらもレニーに「配偶者はスケジュール管理の役になんて立たないものよ」と、実感の篭ったアドバイスを授けられるものにしかなりませんでした。

リチャードを演じるヨアン・グリフィズ。alexはヨアンを目当てにこの作品を注文したのですが・・・・・・

「ホーンブロワー」や「Amazing Grace」などコスチュームものでは輝いていたヨアンも、どうもUS現代モノにはいまいち合わないようですね。。。

少々辛口ですが、「品」があるかといえばなかなか難しく、、、、。 ヒュー・グラントくらいのオックスブリッジ発音とシニカルなブラックユーモアを出せる力があれば、この作品も少し印象が変わったかもしれません。

ヨアンでなくても良かったな、と残念ながら感じました。「何の為にここにいるの?」と思うほど、存在感が薄かったような気がします。

そして、デヴィッド・ドゥカヴニー。 ドゥカヴニー演じるマイクがどんなポジションかは、「The TV set」公式サイトを開いた瞬間に分かると思います(笑)

有名な米のTVドラマ「X-Files」。彼がこの大ヒットドラマの主演俳優だったことを考えると、このキャスティングもなかなか面白いのではないかと。

ヒゲ面で弱音を吐くのがこんなにハマってしまっていいものかと思うのですが、その困る顔に思わず笑みがこぼれてしまうのが止められませんでした(^_^;

でも、ドゥカヴニーだから、最後のオチに思わず「ひどいっ!」と叫ばずにはいられず、そして今後の彼に心からの同情を覚えたのかもしれません(笑)

クリエイティブな仕事をしたいと思い夢を見ながら、思い描いたとおりの結果を手に出来ている人は果たして何人いるのでしょうか・・・・。

それにしても、なんであんな下品路線に沸きたてるのかちょっと分からないと思うalex。ま、日本のバラエティー番組もそこそこ下品ですから、同じようなものなのかもしれませんが。

最近海外TVドラマ(主に米国作品)に浅くはまって思うこと。TVドラマと映画はあり方が違うとは思っても、どうも英国俳優と比べると底が浅いなぁ~と感じることしばし。

決して軽んじるつもりも先入観を持つつもりもありませんが、「後に残らない」人や作品が多い気がします。観終わった後、寝る前やお風呂に入ってる時、道を歩いている時に、ふっと「あのシーンって・・・」と思うことが少ないのです。

CM込み1時間で見てしまえるお手軽さ、いわばファーストフードなんだから、そんな中身を求めること自体筋違いかもしれません(^_^;

最近はTVドラマでも特殊効果、VFXを使いまくりですしね。「HEROES」みたいに。そういう背景を全部取り去って、いわばアカペラ状態になった時に、「う~ん・・・・すごい」と唸らせることが出来る俳優が何人いるか。

alexの脳裏に浮かぶのは、英国俳優ばかりでした(^_^;;

それでも、登場人物の心情をひたすら汲み取る必要もなく、ただ目に映るものを観ていればいいだけのUSドラマは気軽なので、それなりに楽しめるのがいい所だろうと思います。

こちらにも参加してます。(映画&英国俳優)
よろしければポチっと押してやってください→人気blogランキングへ 

« 「Shattered」US版DVD12/24発売! ジェラルド・バトラー/ピアース・ブロスナン | トップページ | alexの体内・脳内メーカー »

◆Films◆」カテゴリの記事

★DVD情報★」カテゴリの記事

ヨアン・グリフィズ/Ioan Gruffudd」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/48366/16711106

この記事へのトラックバック一覧です: 海外ドラマ制作の裏側を見る「The TV Set」 デヴィッド・ドゥカブニー/シガニー・ウィーヴァー/ヨアン・グリフィズ:

« 「Shattered」US版DVD12/24発売! ジェラルド・バトラー/ピアース・ブロスナン | トップページ | alexの体内・脳内メーカー »

スポンサードリンク

管理人サイト

ブックマーク

サイト内検索
カスタム検索

Tom Hardy「Warrior」

トム・ハーディとジョエル・エドガートン主演。離れ離れになっていた兄弟が、それぞれの想いを抱えて総合格闘技リングで闘うお話。アクションもすごいけど、ドラマ部分が素晴らしい作品。タオルかティッシュを用意してどうぞ。

PS3で再生可能なUS版BD

[Amazon.co.jp]Warrior[Blu-Ray(US)]

PCで再生可能なUK版DVD

[Amazon.co.jp]Warrior/ウォーリアー[PAL-UK][Import]

Avengers/アベンジャーズ

アイアンマン、ソー、キャプテン・アメリカ、ハルク、ホークアイ、ブラックウィドウ+ロキ。

PS3で再生可能なUS版BD

[Amazon.com]Marvel's The Avengers (Two-Disc Blu-ray/DVD Combo in Blu-ray Packaging)

PCで再生可能なUK版DVD

[Amazon.co.uk]Marvel Avengers Assemble[UK-DVD]

おすすめDVD/BD

ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、トム・ハーディ、ベネディクト・カンバーバッチ、キアラン・ハインズ、トビー・ジョーンズ他、英国俳優の豪華な競演が素晴らしい、ジョン・ル・カレ原作『Tinker,Tailor,Soldier,Spy』UK版DVD、2012/01/30発売!


[Amazon.co.jp]Tinker,Tailor,Soldier,Spy[BD+DVD+CD 豪華特典付デラックスバージョン][BD-RegionB][PAL-UK][Import]
※UK版BDはリージョンコードB

DVDはリージョンコード【2】なのでPC再生可能♪

[Amazon.co.jp]Tinker Tailor Soldier Spy/裏切りのサーカス[UK-PAL]

ユアン・マクレガー「イエメンで鮭釣りを」DVD

ユアン・マクレガー&エミリー・ブラント主演のラブコメディ。中東との政治情勢悪化でダウンした英国イメージを上昇させるため、クリスティン・スコット・トーマスが演じる首相官邸広報課が題材を探し、イエメンでサーモン釣りというアイディアを取り上げる。

PS3で再生可能なUS版BD

[Amazon.com]Salmon Fishing in the Yemen [Blu-ray]

PCで再生可能なUK版DVD

[Amazon.co.uk]Marvel Avengers Assemble[UK-DVD]

☆話題作☆

ユナイテッド・シネマ 最新映画を自動更新でご紹介!

2015年11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30