『大いなる陰謀/LIONS for LAMBS』感想 トム・クルーズ/メリル・ストリープ/ロバート・レッドフォード
USでは派手にコケたらしい、新生(?)トム・クルーズの肝いり作品、『大いなる陰謀(原題:LIONS FOR LAMBS)』。
トム・クルーズには興味がなかったものの、メリル・ストリープとロバート・レッドフォードが出るなら、と鑑賞。パンフレットを読むと、ロバート・レッドフォード曰く「観客に考えさせる作品」だそうだが・・・
いや、だから?
↑観終わった後の素直な感想。
う~ん、う~ん、う~ん・・・・。
確かに、立ち上がることの必要性、ただ受けるだけでなく、考えることの重要性、そーいう行動は必要だと思う。
作られた出来事、仕組まれた作戦、イメージだけを考えた策略(?)はうっとうしいし、でもそれが現実なんだろうし。USに限らず、そういう政治のetcや報道のetcは日本でもあるんだろう。
が。
訴えたいらしいことのスケールが小さすぎるような、いまいちクリアになってないような、考えさせるにしてもちょっとインパクトがなさすぎるような。。。。
もう少し骨太な作品なのかなぁ~と期待していただけに、<その程度?>としか感じられなかったのが少々残念。
少しネタバレしそうなので、突っ込んだ感想は続きにて。
--ネタバレあり--
腹黒アーヴィングの企み(=大いなる陰謀)を暴いてみせて、それを「報道してね」とリークされたベテラン記者の葛藤を出して、白人中上流家庭に生まれなかったマイノリティーが将来を掴む為に選んだ選択肢&過酷な現実を見せるのは悪くないと思う。
確かにマイノリティーな学生2人が選んだ道は、きっとお坊ちゃん達なら選ばなかった道だし、彼らだからこそ選んだ道だろう。夢を持てない現実を変え るため、というよりは、現実を変えたいという夢を持つために提示されていた最短経路。厳しい現実を知っているが故に国を憂い、将来を憂い、なんとか今より 少しでもマシな国にしたいと願う。恵まれた環境にいない者だからこそ持つ願い、かな。。。。
国を変えるためには政界に入る必要があり、政界に入るには高等教育を受けている必要があり、尚且つそこで「とても優秀であること」を示す必要もある。
けれど、最低条件を満たすための教育を受けるためには、膨大な学費が必要で、ヒスパニック系、アフリカン・アメリカン系として地元の高校に通っていたような2人にはとても負担できる額ではなく。
ローンに追われずに勉強するためには、「帰還兵は学費免除」というリスクの高い制度を利用するしかない。
そこら辺のお坊ちゃん達よりもよほど国のことを考えている優秀な学生達が、勉強するために命がけにならなければいけないのはとても皮肉なこと。そしてそんな彼らが最期に選んだのは、敵に立ち向かうコト。
瀕死の身体を持ち上げ、支えあいながら立ち上がり、空になった銃を敵に向けるコト。
理想と現実の狭間でやる気をなくし、何をすることもなく流されることを選ぶ学生と対比させたら、2人の生き様はやるせないものだった。
ただ、この2人の選択肢は、個人的にはかなり後味が悪かった。
従軍志願をしたのなら、帰還後に大学院で勉強して国を変えることまで夢見たのなら、最期までその夢を捨てなければよかったのに、と。
基本的に、軍隊は作戦中にはぐれてしまった隊員を見捨てないようなので、もう少し待てば助けが来たかもしれない(そして実際に救助隊&攻撃部隊は彼らを見捨ててはいなかった)のに、助けがこないと勝手に判断して、闘った自分達の最期を「演出」する。
敵に包囲されて攻撃されて命を落とすのならともかく・・・・
次の次の大統領の椅子を目指して欺瞞的な笑顔を振りまくアーヴィングとあまり変わらないのでは?無謀なことに挑戦してみた自分に酔っても、文字通り犬死になるだけなんじゃないだろうか。。。
極限状態になった人間がどんな精神状態になるかなんて分からないので勝手な言い方かもしれないけれど、結局、この2人も諦めてしまったんだなぁと、かなり収まりが悪い。
ベトナム戦争の従軍体験から、理想と現実・建前と本音を身体で知り、朽ち果てていきそうな国を憂う教師。反戦運動に身を投じていたようなので、口だけではなく自らも行動を起こしていたみたいだけれど、警鐘を鳴らしても応えるのは未来を持った若者だけ。一番、未来を託したい若者が、従軍という回答を突きつけてきた。
少しでも可能性のある若者に考えてもらいたい、気づいてもらいたい、動いてもらいたい。
そう思っているのは分からなくもない。
けれど・・・・
うまく言えないけれど、問題提起すればOKでもないんじゃないかと感じる。
具体的には思い浮かばないけれど、なんとなく、もう少し話の持っていき方があったのでは?と勝手な思いが後から出てきた。
感動的な面談をしろという気はさらさらなく、ただ、、、穿ちすぎかもしれないけれど、トッドが第二のアーヴィングになる可能性だってあるじゃないか、と斜めに観てしまった(^_^;
凪いだ湖面に石を投げる人すらいなくなったら終わりなのだろうけれど・・・・。
トムの議員姿は、笑顔がさわやか過ぎて正直うっとうしかった(笑) 日本の政治家も、ありえない爽やかスマイルが載ってるポスター作るけど、トムのそれは本気で気色悪くて、そーいう意図だったのだとしたらすごいけど、1分でもう十分。
メリル・ストリープとのやり取りは・・・演技力高し!って言えるものなのかなぁ。。。(疑問)
トムの笑顔は常に欺瞞的だから(笑)、腹黒って顔に書いてあってうっとうしさ全開。それをハマってると言うなら俗に言われてる「新境地開拓」なんだろうけど・・・
報道の理想と現実の板ばさみで、憔悴するメリル・ストリープは割と見ごたえあり。多分、この人はアーヴィングを希望の星と書いたことを密かに後悔してるんじゃないかと推測。商業主義と繋がらない報道なんてないってことを改めて浮き彫りにしたんですね。
議員が望む「演出」と「真実」の狭間。
でも結局、真実はお金を出してくれる人には勝てないってことで。ネタを報道することにしてタクシーに乗り込んだ彼女は、かなり抜け殻になっているように。
イラク戦争開戦時のマスコミの動きなど、アメリカ作品にしては突っ込んでるなぁと思う部分もあったけど、「でもそこ止まりなの?」となんとなく肩透かしな気分。いや、メジャー作品でそういうツッコミを出すのは簡単じゃないかもしれないんですけどね。(「相棒 劇場版」を観た後だったから余計にそう思ったのかなぁ・・・)
結局、「もちっと深くならん?」と思った作品でした。DVDで監督コメンタリーとかあればまた違った解釈が出来るのかもしれないけれど、それほど「大いなる」作品でもなかったかと。
「Lions for Lambs」。そう、結局のところ事件が起きるのも戦うのも、すべては現場・最前線。指揮を執る人間がバカなら、現場はただの犬死、無駄死に。
優秀な頭脳は情報部に、戦略部に、通信部にってのは日本も同じらしいけど、頭でっかちでも使えないよね、というのは大いに賛成(笑)
この作品は劇場鑑賞じゃなくてDVD鑑賞で十分だったと思うのがちと口惜しい。
「◆Films◆」カテゴリの記事
- 『大いなる陰謀/LIONS for LAMBS』感想 トム・クルーズ/メリル・ストリープ/ロバート・レッドフォード(2008.05.07)
- 『The Dark Knight』、ヒースについて監督&クリスチャンが少し語る(2008.03.11)
- IGNに『Nim's Island』のPublicity StillsがUP(2008.03.11)
- New Line CinemaがWarner Brosの傘下に(2008.02.29)
- David Wenhamも参加!『Public Enemies』 クリスチャン・ベール、ジョニー・デップ(2008.02.25)
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/48366/41123832
この記事へのトラックバック一覧です: 『大いなる陰謀/LIONS for LAMBS』感想 トム・クルーズ/メリル・ストリープ/ロバート・レッドフォード:











コメント